●動詞を軽くするということ
そもそも16の動詞で英語表現ができるというOgden氏の提唱は、どんな表現もたった16の動詞しか使わないということだ。つまりなるべく「よく働く動詞」を使って表現するというのが「動詞を軽くする」ということだ。
したがってこの教材そのものが、「動詞を軽くする表現」ばかりを集めたものとも言えるが、その一端を例文で示してみることにする。
以下の例文はすべてbe動詞が使われている。一方、学校時代に学んだ「です、いる、ある」の意味ではとうていつかみきれないくらい日本語訳では様々な意味で使われている。もちろんHe is a good swimmer.という文を他の「具体的な動作を表す」動詞swimを使ってHe swims well.とも表現できるが、これだと「動詞が重すぎる」。
例えば、過去形や過去分詞で表現する場合、その変化も大変だ。それがbe動詞の変化だけを覚えていれば表現はより簡単になり、しかも動詞を軽くした表現の方が英語らしい表現となる。
それにもう一つOgden氏は、動詞を軽くした分、その名詞に重点が置かれるが、その名詞は動詞を変化させて使えと指摘している。
動詞 名詞
read reader
work worker
run runner
write writer
speak speaker
hate hater
love lover
listen listener
buy buyer
drink drinker
eat eater
talk talker
この場合、注意したいのはこれらの文の意味に「いつもそうしている、そうする人だ」といった意味も含まれていることだ。
We are hard workers.
私たちはいつも熱心に働いています
We work hard.
私たちはいつも熱心に働きます
上の例文が、ネイティブが好んで使う表現であり、下の例文が私たち日本人が好む英文ということになる。
●
「飲む」はdrink、「見る」はlook、「洗う」はwash、しかしネイティブはhave a drink, have a look, give a washといった表現を好む
他に、「飲みなさい!」とか、「見なさい!」は、Drink!でも、Look!でもいい。もちろんそう表現するのも間違ってはいない。しかしそれをHave a drink!とかHave a look!と表現するのは、一つにはそのような表現はとても英語ということばのリズムに乗った「英語らしい表現」であるし、もう一つとても大切なことは、先に述べたように「動詞を軽くする」という目的にもかなうということだ。
実は、ここが日本人には盲点になっているが、英語は「名詞的言語」なんだ。逆に日本語は「動詞的言語」だと言われている。何度も言っているように日本人はすぐに「動詞は何だ」と考えてしまう。
動詞を軽くした表現はとても英語らしい表現であるし、私達ネイティブでないものも動詞変化を覚えなくてもいい。また副詞ではなく形容詞で表現できる。この場合、longをshortにすると、「ちょっと話をした」ということになる。
I talked long. longは副詞
私は長い間話をした
I had a long talk. longは形容詞
私は長い間話をした
have a date
デートする
have a dream
夢を見る
have a break
休憩する、一服する
have a headache
頭痛がする
have a slight cold
風邪気味だ
take a shower
シャワーを浴びる
take care
注意する
take a seat
席に着く、座る
take trains
列車に乗り継ぐ
take a bribe
わいろを受け取る
make an offer
申し出をする
make a joke
冗談を言う
make a wish
願い事をする
make a bed
ベッドメーキングをする
make a reservation
予約をする
give one's opinion
意見を述べる
give a good boil
よく煮る
give a brush
ブラシをかける
give a flavor
味を付ける
give a cry
叫び声をあげる
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